代表者インタビュー記事

下記の記事は、Venture Support Network Japan (VSN)より受けたインタビューを掲載したものです。
社長に聞く - 株式会社リプロモ


株式会社リプロモの代表取締役である斉藤翔は、学生の時に起業した若き経営者である。起業にいたる経緯や、商品、10年後を見据えた今の思いを、柔らかな京都弁で熱く語った。
もくじ

  1. 株式会社リプロモの誕生
  2. 「防災クマさん」の誕生
  3. 「代表取締役」の誕生
  4. 「防災クマさん」
  5. 「防災クッション うたたね」
  6. 10年後を見据えたリプロモの今後

株式会社リプロモの誕生

「株式会社リプロモ 代表取締役」の肩書きを持つ斉藤翔(さいとう めぐる)が起業したときは立命館大学の学生だった。大学2年生だった10月、3人で学生団体リプロモを設立する。「リプロモ ripromo」の意味とは立命館大学のri、そしてprofit・motiveの略だという。

「『利益を追求する団体』という意味を込めました。当時、学生の中に様々な団体が生まれました。しかし学生にとって、社会人と対等にビジネスをするのはやっぱり怖いんですよ。だから『社会貢献の為』等の色んな名目を付けるんです。でも僕らは『学生だから』という甘えを持った他の団体との差別化を図りたかったんです。ビジネスというからには、100円でも1000円でもいいからお金を払っていただこう。だけどお金を払っていただくにはそれなりのものを提供しなければならない。創業時に気づいた『お客様の利益になる時が、最も自分たちの利益になる』という理念は、今も僕の原点です」

「防災クマさん」の誕生

3人は学生団体を設立して、「人の利益」とは何から生むのかを 連日多くの時間を割いて考えた。そんな時、ちょうど自身で防災グッズを探していた斉藤は「若者の視点で考えた防災グッズ」を提案する。

「僕は10歳の時に京都で阪神大震災を体験しました。京都では揺れは大きかったけれど、被害はほとんどありませんでした。だけど僕にとってその体験は強烈だった。連日テレビに映し出される神戸の惨状。学校で始まった防災についての授業。そのうち、学校自体が被災して同級生を亡くしたと言う子が転校してきました。だから防災グッズについてはいつも考えていました。だけど探すとなるとなかなか良いものは無いんですよ。それならどんなものなら自分は買うのか。防災グッズを学生の視点で考えたらどうだろうかと思いました」

「当初はシックな革張りにしようとか、有名なバッグメーカーとタイアップできないだろうか等、様々な案が出ました。しかし、いつも身近にあって、イザと言うときにすぐに持ち出せるものとして考えたとき、子どもの頃からうちの中にあふれていたぬいぐるみのクマさんならどうだろうと思いつきました。母が好きだったので、うちにはクマさんがたくさんいたんです(笑)。

こうして、リプロモの商品、「防災クマさん」は誕生する。


「代表取締役」の誕生

3人はそれぞれ15万円ずつを出し合い、防災クマさんを100体製造する。2005年3月のことだった。しかし、クマは約3ヶ月間、1体も売れなかった。
「学生にとって15万円は大金でした。なけなしの金は使い果たし、一向に売れないクマのぬいぐるみ100体と向き合う日々は辛かったです。この先、どうなってしまうんだろうと思いました」
やけっぱちになって、ある新聞社に商品を持ち込んで説明したところ、小さな記事になった。それから徐々にクマのぬいぐるみは売れ始めたと言う。
2006年8月、学生団体リプロモは法人格を取得。株式会社リプロモを設立する。斉藤が大学4年生の時だった。しかしこのとき、すでに卒業していた2人は就職の道を選んでいた。3人が「食べていく」ことは難しかったからだ。翌年の3月に卒業を控えた斉藤は、就職かこのまま起業家としての道を進むのか迷っていた。
「結局、『防災クマさん』をもっと世に出したいという気持ちが勝ちました。就職はいつでもできる。だけど今、僕が辞めたら『防災クマさん』はここで終わりになってしまう。それは嫌だと思ったんです」
こうして、「代表取締役 斉藤翔」は誕生したのだ。

「防災クマさん」

ここでリプロモが生み出した商品を見てみよう。まずぬいぐるみ型避難袋の「防災クマさん」。Mサイズと子供用のSサイズがある。避難袋をクマのぬいぐるみにした利点は何なのか。
1、平時に身近に置いて、違和感がない。
「テディベア型だとリビングや枕元に置いても違和感がありません。、いざというときにすぐに持ち出すことが出来ます。通常の避難袋は平常はどこかにしまい込んでしまいがちです」
2、被災時のストレスの緩和
「テディベアの形は癒しの効果があると言われています。また子どもたちにとっても、普段遊んでいるクマさんが非常時にもそばにいることで、精神的な助けになります」
「クマさん本体には、暗闇で光る蓄光の腕章を付けたり、利用者の情報を書き込めるタグを付けたりとの工夫を施しています。また、デザインは子供向けのデザインカット集で有名な斉藤佳子先生によるものです」



防災クマさんの背中にはファスナーがあり、それをあけると12種類の防災グッズが入っている。この中身についても聞いてみた。
「中身については、定期的にヒアリングをしたりして見直しをし、最新の防災グッズをセレクトしています。でも人によって、いざと言う時に必要なものって違うと思うんですよ。視力矯正をしている人にとっては、予備のメガネやコンタクトレンズは必需品でしょう。避難所での気晴らし用にトランプを入れていますが、囲碁盤の方が良いという方もいるでしょう。ですからいざと言うときに持ち出すものは、それぞれの方でも考えていただきたいんですよ。身近にあってすぐ持ち出せる防災クマさんをそばに置くことによって、防災についても考えていただきたいんです」

 「防災クッション うたたね」

2008年にはクッション型の避難袋「うたたね」を発売した。
「一人暮らしの男性や、シックなインテリアを好む方から、『ぬいぐるみのクマさんはどうも・・・』という声が相次いだんですよ。そこでシンプルな白と黒のクッション型を作りました。クッションにしても、『身近において違和感がなく、すぐに持ち出せる』『被災時のストレスの緩和』という2つのコンセプトは変わりません。
『防災クマさん』と『うたたね』の2つで、『自宅用』の避難袋については、男性・女性、年齢を問わずほぼ全ての人に利用いただけるかなと思っています。次は職場においておける避難袋を開発したいと思っています。災害はいつ、どこにいるときに起こるかわかりませんからね」



10年後を見据えたリプロモの今

リプロモの今後の展望について、聞いてみた。
「10年後、防災グッズだけでなく、商品やサービスの面白いアイデアを生み出す会社になりたいと思っています。『おもしろいアイデアだなと思ったらリプロモだよ』と思ってもらえるような。そして会社の社員や社員の家族、その友人たちが皆幸せを感じていて欲しい。幸せになるための糧を与えられる会社になっていたいと思います」
「その10年後のリプロモを現実にするための過程として今があります。今最も力を入れているのが『防災』です。防災の会社はいっぱいあるんですよ。だけど若い発想に欠けている。だからなんとなく身近に感じられないし、どちらかというと避けて通りたいと思ってしまう。だから防災に若い感覚や面白いアイデアを入れて、もっと身近にしていきたいと言うのが今の僕の使命です。それが人の役に立って、社会献上にもなる。その先に10年後があるのです」
「リプロモは目標に以下の3つをあげています。

 生活空間に馴染む防災用品を日本中の住居に普及させる。

防災事業を通して、災害時の被害を少しでも軽減させる。
社員と社員の家族とその友達が幸せに暮らせるようにする。

そしてミッションにはこうあげています。


スローガンは「Have fun with ripromo products.」

(リプロモの商品でお楽しみください)

世の中をもっとおもしろくするために、ちょっとおもしろい商品を企画する。
それが株式会社リプロモの使命です。

一見、まるで違うことをあげているように思われるかもしれない目標とミッションは、ちゃんとつながりがあるんですよ(笑)」


※ 取材・執筆:柳瀬美仁

※ 取材日時 2009年2月