どんな簡素な会議室にも、机と椅子は用意されています。さらにホワイトボードや黒板も、必ず置かれているアイテムといってもいいでしょう。そんな会議室に必須のホワイトボードが、近年進化を遂げています。ただ、意見を書き残すだけではない機能をもったホワイトボードとは、一体どんなものでしょうか。
電子黒板
会議室だけでなく、学校等の教育の現場でも頻繁に使用されているのが、電子黒板です。シンプルなタイプは、板書した内容を備え付けのプリンタで出力できるというもの。ホワイトボード上のイメージをスキャナが読み込み、プリントすることが可能です。ホワイトボード面がフィルム状になっていて、複数面に書くことが可能なものもあります。また、備え付けのプリンタからだけではなく、スキャンしたデータを外部へ取り込むこむことも。
インタラクティブホワイトボードと呼ばれる製品群は、さらに高度な利用が可能です。PCのデスクトップを投影し、そこに書き込んだり操作することができるのです。たとえばプレゼンテーションの際には、スライドショーなどのソフトを使って見せられるだけではなく、その場で手書き要素を加えることで、より印象的な発表ができるようになります。
Microsoft Surface Hub
インタラクティブホワイトボードの最前線に立つアイテムの一つが、Microsoft Surface Hubでしょう。大画面にマイクやスピーカー、カメラ、センサーを内蔵していて、タブレットを使うような気軽さで色々な機能を利用することができます。電子ペンを手に取るとホワイトボードが起動。カメラやセンサーが、部屋の暗さや人を感知して画面を最適な状況に調整します。
ホワイトボードとしては、付属の電子ペンだけでなく、指でも書き込みが可能です。また物理的な制約がないので、スクロールさせることでどこまでも記入することができます。消して書き直す必要がないので、アイデアの広がりをそのまま残せるのが画期的です。
さらに、ホワイトボード自体にOSが組み込まれているので、アプリの操作も可能で、画像の貼り付けだけでなく、高解像度の動画も再生できます。通信機能も備えていて、画面上にSkypeを立ち上げて遠隔地の人と話し合うという便利な使い方も。もちろん、通信している人はホワイトボード画面の内容を共有できます。
また、データリーダもついているので、たとえばスマートフォン上のデータを画面に投影することや、社員IDなどを認識させて社内システムと連携するのにも便利かもしれません。
人工知能(AI)を融合した会議支援空間
黒板やホワイトボードといったアイテムの域を超えたのが、日本ユニシスとイトーキが発表した、考える会議室。『人工知能(AI)を融合した会議支援空間』と名付けられたプロトタイプは、会議室全体が会議を記録しサポートする高機能なものになっています。
壁面とデスクがモニターになっていて、映し出される情報に囲まれる様は、まるでSF映画の一場面に入り込んだようです。たとえば参加者の発話内容をすべて文字化して映し出したり、その言葉の中で重要なものをハイライトしたり…。刻一刻と変わる会議の状況を全て反映していきます。
さらにAIが状況に応じて情報を提供。ニュースや研究論文、書籍等、キーワー堂に応じたリソースを提供してくれるというから驚きです。時には知らない言葉の意味を解説してくれるそうです。AIを搭載しているので、会議室自体が学習して、回を重ねるごとに精度の高いレコメンドができるという点も斬新です。参加者の発話量や内容、情報のやりとりを蓄積して、より高いレベルで会議の内容を読み取れるようになっていくシステムに、参加者が頼る場面も増えるのかもしれません。
もはや議事をかきこむだけではない、会議室のホワイトボード。多機能なアイテムの導入が、議論を深める大きな助けとなってくれそうです。
<参考>
http://logmi.jp/97239
http://ascii.jp/elem/000/001/075/1075728/