会議とは、当事者同士が顔を合わせ、情報を共有し、意見を交わし、意志決定する場です。しかし、場合によっては参加者から十分な議論を引き出せなかったり、決めるべき事柄が決まらなかったりすることも多くあります。こうした事態を避けるためにはどうすれば良いのでしょう。
まず、会議を始める前にどんな準備をすれば、より有意義な会議になるか考えてみましょう。
大前提として、参加者がその会議の議事について理解がないまま会議を進めても、議論は成り立ちません。当然のことのようですが、会議の目的や基本的な情報共有がなされないまま、議事が進行することも少なくありません。そこで、まず会議の目的と基本的な情報を事前に共有するようにしましょう。メールなどで議事と報告・資料を閲覧できるようにし、全ての参加者が情報を共有した上で、会議を始めることが重要です。その際、資料は印刷物にして手元におくよりも、プロジェクターなどで投影した方が、参加者の目線が上がってより対話が生まれやすい環境になります。
さて、議事と情報共有ができたら、今度は最終的な決定のプロセスについても、決めておくのがいいでしょう。意思決定を、どんな形で誰が行うのか。多数決か、リーダーの決済か、外部の判断か。会議を実りあるモノにするために、決着の付け方について、参加者の合意を図っておく必要があります。
議論を活発にするために、実際の会議の中では、どんな工夫ができるでしょうか。会議でのキーマンは、なんといっても司会者です。参加者が発言できるようにうながし、議論の方向を整理しながら、意思決定まで導いていかなければなりません。そのためには、司会者がいくつかの心がけをすることでより活発な議論が生まれます。
1.参加者同士の安心を作り出す
事前の情報共有に加えて、会議の冒頭でも、その議事と目的を確認しましょう。これによって、参加者の心構えができます。
2.参加者の強みや専門性から、発言を引き出す
「Aさんは〇〇に当初から関わっていましたが、その観点からきかせてください」
「開発の現場で感じていることを、お話し下さい」
といったように、相手の立場や専門性を尊重することで、発言者は自信を持って話しやすくなります。
3.お互いの貢献を承認する
「Bさんがおっしゃっていたように…」
「Cさんの指摘はそのとおりで…」
というように、名前を呼んで論点を認めることで、会議全体に協力的な雰囲気がつくられます。
4.会話を続ける質問を用意する
「それはどういうことですか」
「その背景についてもう少し聞かせて下さい」
つなぎ言葉や掘り下げる質問は、発言者が話を続けやすくするきっかけに
なります。
5.沈黙を恐れない
沈黙は、発言者が考えを深めているサイン。あせって発言を促さず、言いたいことが言えるまでじっくりと待つ余裕が必要です。
こんなふうに、司会者の心がけ・言葉がけひとつで、発言がしやすい環境をつくることができるのです。
一方で、参加者同士は、どうすればもっと意見を交わすことができるのでしょうか。大勢の前ではうまくはなせなかったり、重々しい雰囲気が苦手だったり、発言のタイミングをはかっているうちに、時間がすぎてしまったり。そんな参加者も少なくないでしょう。そんな人にも意見を述べてもらうために、「ワールドカフェ」と呼ばれる形式がおすすめです。数人のグループをつくり、カフェで雑談するように議事について話し合い、グループのメンバーを入れ替えながら話し合いを続けます。小さなグループで話すことで、参加者からまんべんなく発言を引き出し、また相手を変えて話すことで、新しい観点から考えを深めることもできます。
議論が低調に終わったり、意思決定ができなかったり、発言者に偏りがあったり―。そんな不毛な会議をやめ、より収穫の多い会議にするために、ちょっとした準備や工夫が大きな手助けになることでしょう。
<参考>
http://allabout.co.jp/gm/gc/297576/
http://www.tkc.jp/cc/senkei/200610_special01.html
http://www.j-cast.com/kaisha/2014/08/27214077.html